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【プロ野球・仕えた監督の人数を同い年で対決】三浦大輔 (DeNA)vs. 松中信彦(ソフトバンク)

 明日はスタメンじゃないかも、2軍に落とされるかも……。プロ野球選手の悩みは尽きない。そんなとき、ついつい伺ってしまう監督の顔色。

 選手にとって監督は最大の権力を握る上司。個人事業主である選手としてはいわば元請といっても過言ではないだろう。監督の一声で自分の運命が決まることもしばしば……。

 しかし、通常の企業とは違って、元請である監督がコロコロと変わることも。そこで今回、三浦大輔(DeNA)と松中信彦(ソフトバンク)という球界を代表する2人のベテランかつ同級生の「上司の変遷」を紹介したい。

どの監督からも重用されたハマの番長・三浦大輔


 1991年にドラフト6位で高田商高から大洋ホエールズに入団した三浦大輔。大洋、横浜、DeNAの直列3球団に在籍したことのある唯一の選手で、生粋のフランチャイズ・プレーヤーと言える。


 つまり、《三浦が仕えた監督=大洋・横浜・DeNAの監督》の図式だ。基本的には暗黒時代が基調の球団だけにその変遷は慌しい。書き出してみると以下の通りだ。

須藤豊(1992)→★江尻亮(1992)→近藤昭仁(1993〜1995)→大矢明彦(1996〜1997)→権藤博(1998〜2000)→森祇晶(2001〜2002)→★黒江透修(2002)→山下大輔(2003〜2004)→牛島和彦(2005〜2006)→大矢明彦(2007〜2009)→★田代富雄(2009)→尾花?夫(2010〜2011)→中畑清(2012〜)(★=監督代行)

 なんとプロ生活24年で、監督代行を含めると総勢12名もの監督に仕えたことになる。1つの球団と運命をともにした男ならではの珍記録だ。

 そんな三浦が、エースに成長できたのは、近藤昭仁監督の抜擢によるところが大きいだろう。

 ホエールズからベイスターズに球団名が変わり、高木豊、屋鋪要、山崎賢一、市川和正などの功労者を放出し、血の入れ替えが行われた1993年。三浦は1軍で本格デビューを果たしている。

 これは近藤監督の若手投手重用戦略の一貫で、高卒2年目から出番に恵まれた三浦は1995年には先発ローテに定着した。

 そこからも三浦は各監督のもとで重用された。自由を重んじる権藤博監督や管理野球の森祇晶監督、どんな指導者とも主だった確執報道は出ず、三浦の男気がうまく愛された印象だ。

 現在、コーチも兼任する三浦。多くの監督のやり方を見てきただけに、指導者としての引き出しの多さも大いに期待できるだろう。

長期政権を築いた王監督の申し子・松中信彦



 一方、同い年の松中信彦は三浦とは真逆の上司変遷だ。新日本製鐵君津から1996年のドラフト2位(逆指名)で当時のダイエーホークスに入団した松中が、仕えた監督はわずか3名。

王貞治(1997〜2006)→★森脇浩司(2006)→王貞治(2007〜2008)→秋山幸二(2009〜2014)→工藤公康(2015〜)(★=監督代行)

 王監督が胃がん手術の際に、監督代行を務めた森脇浩司コーチ(現オリックス監督)を含めても4名と、三浦のちょうど3分の1の数だ。

 特に王監督との結びつきは強く、入団した1997年から2008年までベッタリの間柄だ。松中は3年目の1999年に1軍に定着すると、一気にスター街道を駆け上がり、2004年には三冠王を獲得。王政権に欠かせないピースとなった。

 2人は相思相愛。松中は王監督の「一球を仕留める準備をしろ」という言葉を忠実に守り、王監督は松中に全幅の信頼を置いた。

 そんな松中だが、2009年の秋山幸二監督の就任から徐々に成績を落とした。2013年には起用法の不満から交流戦優勝セレモニーを欠席したことにより、2軍へ懲罰降格。確執が露呈することになった。

 年齢による衰えもあるだろうが、松中にとっては王監督とは違う一種のやりにくさもあったのかも知れない。

 工藤公康監督の下、松中は再び輝けるのか? 松中は今シーズン、未だ1軍出場していない。(5月10日現在)


 プロ野球選手の運命を左右する「監督との関係」。なぜか使われる選手、使われない選手。その起用の裏には“何か”が隠れているかも知れない。

■プロフィール
落合初春(おちあい・もとはる)/1990年生まれ、広島県出身。編集者。大学時代から編集プロダクションで勤務し、野球や歴史の媒体制作に携わる。元プロレスレフェリー。

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